ミックスボイスとは?
〜声区、換声点について
ミックスボイスの出し方〜
山下勇介
ウォークオンミュージックスクール 代表 山下勇介
ミックスボイスとは、 裏声で使われる輪状甲状筋(CT)によって引っ張られて作られる声区(ファルセットレジスタ)と
地声で使われる甲状披裂筋(TA)や声帯内筋など縮む筋肉を使う声区(モーダルレジスタ)
の二つがバランスよく働いた結果、できる声区を ミックスレジスタと呼びます。
その声区内でできる声をミックスボイスと呼びます。
一般的にはこんな感じの声です。
ハリウッド系メソッドでよくあるミックスボイスの練習フレーズ
ハリウッド系トレーニングもミックスボイスを出すにあたってとてもよいもので、当教室でも利用しております。
しかし、その前の段階である、地声と裏声がしっかりとトレーニングされていないと良いものにはなりません。
習得していく工程について、この記事では書いていきます。
簡単に説明すると「裏声」と「地声」の「区分」のことです。
それぞれ喉の中で使っている筋肉が違います。
①地声(モーダルレジスタ)とは
地声(モーダルレジスタ)とは、甲状披裂筋(TA)、声帯内筋など縮む筋肉を主に使った声区。
主にその時、声帯を閉鎖する外側輪状披裂筋(LCA)によって息漏れのない声になる。
この声区によって作られる声をチェストボイスと呼ぶ。
①裏声(ファルセットレジスタ)とは
裏声とは、輪状甲状筋(CT)、引っ張って伸ばす筋肉を主に使った声区。
同時に後筋という筋肉が働くため、息漏れしやすい。
この声区を使った声をファルセット または ヘッドボイスと呼ぶ。
換声点(ブレイク)とは〜初心者の声が裏返る場所〜
みなさんも
「あれ地声がひっくりかえっちゃう」
「どっちを使えばいいかわからない」
というご経験があると思います。
それは当然です。
図が示す様に、地声と裏声には境目があり、しかも交差しているのです。
なので換声点によるひっくりかえりが顕著に現れる場所は人によって違いますが、
別の筋肉が担当しているので
誰にでもあるものなのです。
換声点の途中でひっくり返る声
対策〜ひっくり返らないためには〜
上記の2つの声区を融合し、良いとこ取りをしたミックスボイスによって、
裏声と地声をブレンドした声を作れるのです。
裏声を地声のように太くそして換声点(ブレイク)を克服できます。
ミックスボイスの習得でひっくり返らなくなった声
●声区の分離→発達→融合
白い絵の具と黒い絵の具を使って、自由なグレーを作ろう!
自由な「色」を作るとしたら、まず何が必要でしょうか?
まずは自由にグレーを作るとしましょう。
中途半端なグレーの絵の具を買ってしまったら、1種類のグレーしか作れないのは明白です。
真っ黒な「純粋な黒」と真っ白な「純粋な白」の2つの絵の具を買えば
自由に「白っぽいグレー」もできるし、「黒っぽいグレー」も作れますよね。
ブレンドをする前に、まずはその「白」と「黒」の質を高めていけば良いのです。
●融合(ブレンド)による換声点の克服〜ひっくり返らないなめらかな音に
●ミックスボイスの出し方 トレーニングのやり方
習得の手順
ミックスボイスとはで解説した声区ですが、
各声区(レジスタ)にて、声帯がどうなっているか見ていきましょう
①純粋な地声(モーダルレジスタ)をトレーニングする。
地声とは、甲状披裂筋(TA)、声帯内筋など縮む筋肉を主に使った声区。
主にその時、声帯を閉鎖する外側輪状披裂筋(LCA)によって息漏れのない声になる。
地声(モーダルレジスタ)の声帯の様子
Ex.1 地声トレーニング 男性声 (地声A 喉頭低め ローラリンクス)
②純粋な裏声(ファルセットレジスタ)をトレーニングする。
裏声とは、輪状甲状筋(CT)、引っ張って伸ばす筋肉を主に使った声区。
息漏れのある裏声は「ウ」の母音が出しやすい。
裏声(ファルセットレジスタ)の声帯の様子
Ex.2 裏声トレーニング 男性声 (裏声A 喉頭低め ローラリンクス)
②裏声を閉鎖するトレーニングをする。
裏声を閉鎖させる。「イ」の母音が閉鎖しやすい。
閉鎖した裏声の声帯の様子。
息漏れは少ないが、引っ張られて細いため、薄い声のままである。
Ex.2 裏声 閉鎖トレーニング 男性声 (裏声B 喉頭高め ハイラリンクス)
③地声をブレンドさせるトレーニングをする。→ミックスボイスへ
閉鎖した裏声に地声をブレンドさせていく、そうすれば高い音で少し太い音が出せる。
これを声区融合(ブレンディング・レジスター)である。
引っ張られた裏声を閉鎖し、さらに太く縮めば、高音域にもかかわらず、声が太くなる。
これがミックスボイスの仕組みである。
Ex.3 ミックスボイストレーニング(裏声閉鎖〜地声閉鎖のグラデーション→ブレンディングを3回)
もっと具体的な練習方法について
もっと具体的な練習方法については記事を更新していくつもりです。
また、レッスンにお越しいただければ詳しくレクチャーできます。